アクセサリーの素材でよく目にする「サージカルステンレス316L」。
「316Lって何?」「“L”の意味は?」「ニッケルやクロムが入っていて大丈夫?」——そんな疑問に、できるだけ分かりやすくお答えします。
316Lという素材の基本
316Lは、クロム・ニッケル・モリブデンなどを含むオーステナイト系ステンレスの一種です。
“L”は Low Carbon(低炭素) の略で、炭素量を抑えることで、加工や溶接のあとも錆びにくく、長く安定して使えることが特長です。
錆びにくい理由
表面には、目に見えない薄い保護膜(不動態皮膜)が自然に形成されます。
この膜が汗や水分、空気中の成分から金属を守ってくれるため、腐食を防ぐ役割を果たします。
「絶対に錆びない」わけではありませんが、日常使いではとても錆びにくい素材だと考えて問題ありません。
「ニッケルやクロムが入っていても大丈夫?」への答え
316Lにはニッケルやクロムが含まれています。
ここで大切なのは、316Lが合金として非常に安定しているという点です。
通常の使用環境では金属イオンがほとんど溶け出さず、肌トラブルが起きにくいとされています(感じ方には個人差があります)。
ヨーロッパでは、EN 1811というニッケル溶出に関する評価基準が用いられています。
316Lは一般にこの基準内に収まることが多い素材です。
ただし、体質や肌状態、表面仕上げによっては反応が出る可能性もゼロではありません。
「比較的安心して選びやすい素材」と理解していただくのが正確です。
316Lと「サージカルステンレス」の関係
「サージカルステンレス」という呼び方は通称であり、正式な規格名ではありません。
医療分野では、インプラント向けにASTM F138/F139などの規格に適合した316L(例:316LVM)が用いられます。
一方で、メスやハサミのような切れ味を要する器具には、420や440系といった別のステンレスが使われることも多く、用途によって材質は使い分けられています。
アクセサリーにおいては、毎日身に着ける前提の耐食性と安定性が評価され、316Lが広く採用されています。
304との違いは?
同じオーステナイト系でも、一般的な304に比べ、316Lはモリブデンを含むため、塩分などによる局部腐食(孔食・隙間腐食)に強いのが特徴です。
汗や湿気、日常の水濡れといった環境で、より安心して使いやすい素材と言えます。
日常ケアはシンプルでOK
316Lの良さを長く活かすには、ちょっとした習慣で十分です。
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● 使い終わりにやわらかい布でひと拭きする
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● ときどき中性洗剤でさっと洗い、完全に乾かす
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● 濡れたまま保管しない(湿気・他素材との擦れを避ける)
温泉・プール・海などの特殊な環境でも、外さなくても大きな問題が起きにくい素材です。
ただし、より確実に長持ちさせたい場合は外すのが安心です。
もし着けたままだった場合は、真水ですすいで、中性洗剤で軽く洗浄し、完全に乾燥させるのを習慣にしてください。
まとめ
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● 316L=低炭素で安定したオーステナイト系ステンレス。
不動態皮膜により錆びにくい。 -
● ニッケル・クロムを含むが溶出しにくいため、比較的肌にやさしい(個人差あり/EN 1811の基準内)。
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● 「サージカルステンレス」は通称であり、医療分野は用途ごとに材質を使い分け。
アクセサリーには耐食性と扱いやすさで316Lが広く採用されている。 -
● ケアは「拭く・洗う・乾かす」の基本でOK。
当店では、ほぼすべてのアイテムにサージカルステンレス(316L)を使用しています。
毎日の心地よさと扱いやすさを、定番素材で。